しつけとは何か
犬のしつけにはかなりの根気が要ります。
しつけがどうして犬にとって必要なのか、飼い主がその意味をしっかり認識していないと、犬も飼い主も長続きせず、中途半端ないい加減なしつけで終わってしまうばかりか、どちらにとってもただのストレスしか残さないという可能性もあります。
犬のしつけをする前に、何のためのしつけなのかを、一度考えてみましょう。
しつけには、トイレを決まった場所でさせることや、無駄吠えをさせないことなどの日常的な約束事のほか、「お手」といった本来の意味のしつけには関係のない、ただ覚えてくれたら飼い主が嬉しい、といったものまで含んで考えられています。
本来しつけとは、「犬と人間が一緒楽しく暮らすための方法」を、犬に覚えさせるとともに、飼い主も理解しておくというものです。
犬だけに、言うことをただ聞かせようとか、服従させようと強いるのではなく、飼い主自身も犬が言うことを聞いてくれるような人間になるための努力が必要です。
しつけがもたらす快適な生活とは、人間の側の話だけではなく、あくまでも犬も人間とともに快適に暮らしていく必要があります。
無駄吠えをしない、見知らぬ人に飛び掛らない、知らない犬に吠え掛からないといったものは、犬と飼い主とその周りのさまざまな存在すべてが快適に暮らすためのしつけです。
そのほかにも、拾い食いをしない、散歩中にいきなり駆け出したりしないといった、犬自身の安全のためのしつけがあります。
言い換えれば、犬と飼い主とその周りのすべての存在の安全を守る義務が飼い主にはあり、そのためにしつけがあるということになります。
信頼関係を築く
犬のしつけにとって、順位の確立は非常に大切なことに変わりはありませんが、全てを上下関係だけで解決させることはできません。
リーダーと認めたものの命令に従うということは、リーダーが群れを守ってくれているという安心感に裏づけされているもので、いわば上下関係は、信頼関係の上に成り立っているといえます。
犬のしつけにおいても、この信頼関係は、非常に大事になります。
信頼関係を得るためには、まず、犬の個性を見極めましょう。
犬にも人間と同じように、いろいろな性格があります。
人懐っこい性格や人見知りする性格、積極的か消極的か、長所短所を含めて、性格や個性を把握しましょう。
そのためには、犬の行動や表情をよく観察します。
時間を掛けて犬を見守っていくうちに、臆病で小さな物音にもビクッとする犬や、発育が遅れ気味で活発的でない犬など、それぞれの個性も見えてきます。
その上で個性に合わせたしつけを考えていきましょう。
しつけを始める前に、犬との間にこうした時間を持つこと自体も、信頼関係を築いていくことに繋がります。
何が何でも犬より上位に立たなくてはという思いや、絶対に服従させるということばかり考えていては、犬との信頼関係は築けません。
犬の性格や飼い主自身の性格に合わせて、しつけの項目を増減したり、しつけていく順番を変えていくことも重要です。
なにより、性格や個性に応じたしつけは、飼い主にも犬にもストレスがかからずに済みます。
ご褒美の意味
犬のしつけにはご褒美は不可欠のものです。
よい事をしたらご褒美が貰えることがわかるようになると、犬は、ご褒美を貰えることを繰り返すようになります。
こうして指示や命令に従わせたり、いけないことをやめさせたりしてきます。
ここで言うご褒美とは、おやつのことではありません。
しつけの理想は、おやつなどのご褒美を目当てにさせるのではなく、飼い主から褒められることが最大のご褒美となるようにすることです。
ご褒美としておやつを与えることを繰り返していると、最初は聞き分けがよく効果があるように見えますが、そのうちに、おやつがないと言うことを聞かなくなっていきます。
これは、「指示→従う→おやつ」という行動が犬の中で定着してしまうためです。
犬の習性の一つに「捕獲行動」というものがあります。
これは、獲物(食べ物)を得る欲求とそのための学習能力が結びついて伸びていく行動のことで、おやつをご褒美として与えることを繰り返していくうちに、おやつを得ることが目的の捕獲行動だけを伸ばしていることになってしまいます。
そうなってしまうと、犬は、獲物(おやつ)を得るためだけに飼い主の指示に従うようになり、獲物を持っていない時は従わなくなります。
これでは、飼い主とコミュニケーションがとれているとは言えません。
飼い主でなくとも、おやつを持っていさえすれば誰の指示でも構わないということになります。
犬にとって最大のご褒美は「飼い主に褒められること」であるということを、繰り返し教えて理解させましょう。
最初だけはおやつを使って誘導したとしても、重点は、必ず褒めるということに置き、おやつは徐々に減らしていきます。
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